感染制御医
2015.12.08更新
みなさんは感染制御医という資格をご存じですか?
本当はICD というのですが、カタカナではインフェクションコントロールドクターという
ことになります。
あまりいい訳がないのですが、日本語では一応感染制御医ということになっています。
ドクターが取得することができる資格の一つで、感染症に関して造詣が深いドクターと
いうことになっています。
専門医とちがって取得することは比較的容易です。
ぼくも前職の病院で感染委員会に所属していたこともあり、ICDの資格をもっています。
しかし、せっかく取得した資格ですが維持するためには条件があり、講習を一定回数受けなければいけません。
そこで、先日ワクチンの講習を受けてきました。
見回すと、講習中に寝ている先生が1/4~1/3くらいはいらっしゃいましたが、ぼくには大変勉強になる
内容でした。
ワクチン接種というといろいろなことをおっしゃる方がいらっしゃいますが、まずはワクチンによる
輝かしい歴史の紹介がありました。例えばHibワクチンの普及のおかげでインフルエンザ桿菌による
髄膜炎はほぼ0%になりました。また、小児の肺炎球菌ワクチンの普及によって髄膜炎が70%減少したとの
ことでした。そしてポリオの発症は現在は0%になっています。
しかしワクチン接種の影の部分も当然あります。たとえばHibワクチン では接種の副反応によって7名の方が亡くなられているとのことでした。また、ポリオは以前は経口の生ワクチンであり、1/100万人 の確率ではありましたがワクチン接種が原因で本当にポリオに罹患してしまう方がいらっしゃいました。
現在大勢の方が接種しているインフルエンザワクチンの接種にて重篤な副反応がおきる確率は
0.0002%とのことでした。もちろんワクチンの副反応は0%であることにこしたことはないのですが
それを達成するのはかなり困難であるとの見解も述べていました。
次に今後開発されるワクチンの講演がありました。
例えばすでに海外では実用化されていますが、経鼻投与のインフルエンザワクチンが日本でもいずれ
発売されるでしょう。でも価格は高額になりそうです。
それ以外だと、ノロウイルスのワクチン RSウイルス 帯状疱疹のワクチン デング熱 エイズ マラリア
などのグローバルに普及するであろうワクチンがもうすぐ実用化するとの内容でした。
なかでも日本ではノロウイルスワクチンが最も必要ではないかと思われるのですが、数社が開発しており
すでにphase2は終了しているようです。ノロウイルスはインフルエンザの1000倍の感染力があり
有効な治療法もありません。冬の今頃に流行します。また、今年はGⅡ17という新しい型が出現しており大流行のきざしがあります。
ウイルスが変異を繰り返しても有効性を維持できるかどうかは未知数ですが、もしノロウイルス
ワクチンが開発されれば、朗報であることはまちがいありません。
しかし、ワクチンを接種しても有効期間は2年程度とのことです。つまり2年に1回は接種しなくては
ならないのでそれはそれで大変かもしれません。
これからもウイルスと人類の闘いは続くでしょう。
ただ、予防こそが最上にして最高の医療であるのはまちがいありません。
ワクチン接種は予防医療の一つの柱です。
副反応がなく、有効性が高いワクチン開発が今後も続くことを期待します。
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